心と経営の力学 【No.45】 生産性up↑ 社員の足並みを揃える3つの視点
社員の足並みが揃わないことで生産性が低下していく・・、こんな事態は出来るだけ避けたいと思いませんか?
例えば、「決めたことが長続きしない」、「社内トラブルが多い」、「会議をやっても議論がなかなか収束しない」・・・等々
もし、このような状況が起きているようなら、次の3つの視点でチェックすると有効な解決策が見えてくるかもしれません。
A:目的は共有されているか?
B:協働できる環境が整っているか?
C:良好なコミュニケーションが出来ているか?
Aの目的共有は、何を実現するのか?そして、どんな影響を社内、あるいはお客さんや社会にもたらすのか?に答えるものです。
ちなみに、会社の最上位にある目的は、「経営理念」と、それをより具体化した「経営ビジョン」となります。
Bの協働環境は、目的を効率的かつ効果的に達成するための仕組みや役割り分担。また、グレー領域を積極的に相互補完したり、トラブルが起きた時に解決に向けて協力し合えるような体制や態度の醸成です。
Cの良好なコミュニケーションは、Aの目的の浸透や、Bが円滑に進むような、相互コミュニケーションです。
実はこの視点、1930年代にアメリカの経営学者「バーナード」が提唱したもので、組織が成立・存続するためには「共通目的(組織目的)」、「協働意志(貢献意欲)」、「コミュニケーション」の3つ要素の均衡が取れている必要があるとしています。
提唱されてから、100年近く経とうとしている今でも組織論では必ずと言ってほど取り上げられる内容なので、本質を突いた重要な視点なんだと思います。
そこで、この視点が本当に役立ちそうか?
「組織」と似て非なるもの「集団」と比べながら考えてみましょう。
ちなみに、「集団」と「組織」を、それぞれ手元の辞書で調べると次のように書いてあります。
【集団】人・もの・動物が集まって人まとまりになること。また、その集まり。
【組織】特定の目的を達成するために、諸個人および諸集団に専門分化された役割を与え、その活動を統合・調整する仕組み
それでは、分かりやすいように、身近な例で考えていきます。
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久しぶりに友人と5名で食事に行くことになりました。
そして、予約した居酒屋に入り、久しぶりの再開を祝して早速乾杯!
お互いに、最近の出来事や、今考えていることを思いのままに話します。
この時点では、皆で合って楽しい時間を過ごすこと以外に、これといった目的はありません。
つまり「集団」に近い状態です。
時間は、どんどん過ぎていきます。
生産性?そんなの関係ありません。楽しければいいのです。
1時間ほど経ったときに、鈴木君が突然、「そうだ! お盆休みに皆の家族も連れて、一緒にキャンプに行かないか?」と言い出しました。
一同「イイねー」ということになり、
「何処がいい?」、「小さい子もいるから、安心していけるところがいいかなぁ」、「2泊ぐらいで行けるところがいいなー」・・・など、いろんな意見が出てきます。
1つの明確な目的に向かって、お互いが持っている体験や情報を話します。
この話題が出る前はあちこちに向いていた矢印が、全員が同じ方向に向かい、意見交換を始めます。
そして、
「じゃあ、俺は今度の休みにネットで調べて候補地をいくつか挙げて比較表を作るよ」
「じゃあ、俺は友人にキャンプ好きなのが何人かいるからキャンプ道具を貸してもらえるか確認しとくよ」
「じゃあ、俺は・・・」と
次々に自分が協力(貢献)出来そうなことを伝えていきます。
また、それを聞きながら、言い出しっぺの鈴木君は、スマホのメモ帳で簡単なToDoリストをつくり、LINEグループを作って皆に送りました。その後、計画をより具体化して楽しく安全なキャンプにするために、Zoomで定期ミーティング(コミュニケーション)を行いながら、目的であるキャンプを実際に遂行しました。
このように考えてみると、集団ではなく組織として機能するためには、やはり
A:目的の共有、B:協働環境の整備、C:良好なコミュニケーション
の3つの視点が不可欠になると思いませんか?
あの時、鈴木君が「キャンプに行こう」という話を切り出さなかったら、つまり目的(意識)を持たない集団のままだったら、和気あいあいと楽しい2時間は過ごせたかもしれませんが、自分達も含めて家族に充足をもたらすようなキャンプは実現しなかったでしょう。
ちなみに、目的をより具体化するほど、また協働意欲を引出すためのコミュニケーションが円滑に行われるほど、アウトプットの質は高まってきます。
例えば、
「外で食事や寝る楽しさを味わうため、キャンプに行く」とするか
「自然の素晴らしさを満喫するため、キャンプに行く」するか
「日頃の喧騒から離れて心身共にリフレッシュするため、キャンプに行く」とするか
で、行き先やスケジュールは変わってきます。
また、事前に「何のため?(目的)」が十分に議論・共有されていると、ムダな作業を防げたり、各々が勝手な期待を抱いたまま進んでいってどんどん不満が生じてくるなんてことも防げます。
なので、目的確認とその合意は、コミュニケーションを出来るだけ多く取りながら反復的に行うことが肝要です。
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如何でしたか?
もし、社内が何だか滞っているなぁと感じたら、「集団」モードに入っていないか?
一度、この視点でチェックされるとよいかもしれません。
質問や感想など、お気軽にこちらまでメッセージください。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。