心と経営の力学 【No.50】 AI時代の航海に必要なリーダーシップとは?
今回は、AIの普及に伴い、経営者やビジネスリーダーにとってますます重要になる「人間力」に焦点を当て、「知識」・「見識」・「胆識」の3つの観点からお話しします。
1.知識:情報を昇華させ独自性を築く
まず「知識」の重要性からです。AIは大量の情報を指定した条件や枠組みにそって整理し、瞬時に提供してくれます。
しかし、AIが提供する情報は表面的なものにすぎません。真に重要なのは、AIが提示する情報をもとに、新たな洞察や独自のアイデアを生み出すことです。そして、その源泉がまさに「知識」となります。
また、企業が差別化を図るためには、自社のオリジナル情報やルールを整理し、AIが活用できるようにしておくことがカギです。
通常、AIは2次情報(公開情報)のみを扱い、1次情報(機密情報や未公開情報)にはアクセスできません。自社のオリジナル情報をAIと結びつけて活用することで、独自性を生み出し、競争力を高めることができます。
2.見識:個性と多様性から導き出す最適な決断
次に考えるのは「見識」です。AIは膨大なデータをもとに妥当性が高い(と思われる)判断を下すことができます。さらに、AIに「経験豊富な名経営者の立場で適切に判断して・・:」、「松下幸之助として有効なアドバイスをして・・・」といった条件を与えることで、経験豊富な経営者や尊敬する人の視点を取り入れることもできます。
しかし、AIには個人的な経験値、その場の感情や感性、直観力といったオリジナルスパイが欠けています。
さらに、組織においては、メンバーが置かれている状況への配慮や、異なるバックグラウンドを持つ人々との調和や協力が不可欠です。
AIが提供する情報をもとに、人間の洞察力と多様性を取入れながら、最後は、経営者やリーダーとして腹を括った決断ができるかどうかが一層重要となります。
3.胆識:情熱と行動力でやり抜く
最後に「胆識」です。どんなに有用な情報を持っていても、優れた決断を下しても、それを実行に移さなければ、現実は変わりません。この実行に必要なのは、「情熱」と「行動力」です。
AIが自動化やデータ解析のタスクをこなす一方で、人間は目標に向かって進む力を発揮する役割を果たします。
情熱と行動力は、新しいアイデアを実現し、変革を推進するために不可欠です。
情熱をもって目標に向かい、困難に遭遇しながらもやり抜く姿勢こそが、リーダーシップの真髄です。これにより周囲のメンバーも感化されていきます。
AIがどれだけ進化しようとも、情熱と行動力は人間にしか備わっていない資質です。
さて、ここまでAI時代に必要な「人間力」について話してきました。ことさら新しいものはないかもしれません。しかし、AIの普及に伴い、逆に違いが生じにくくなってくるからこそ、人間力や独自性が一層問われる時代になってきます。
魅力あるリーダーシップを発揮するために、AIと人間の共存がもたらす新たな可能性に目を向けつつ、知識・見識・胆識を高める取り組みを進めましょう!
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