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心と経営の力学 【No.37】 あらたな取り組みが、途中で続かなくなる理由とは?

他社の成功事例や取組みの話を聞いて「当社でも効果が期待できそうだ!」と、取り入れてみたものの、結局途中で断念したり、いつの間にか誰もやらなくなったり、したことは有りませんか?

例えば、〇〇会議、〇〇ミーティング、〇〇提案活動、〇〇運動、〇〇システム・・・等々

同様の悩みとして、「5S活動が続かないですけど、どうしたらいいですか?」というご相談を、この2週間で2社より頂きました。

5S活動しかり、〇〇活動しかり、よかれと思って始めた事が、なかなか続かない、定着しないのは、何故なのでしょうか?

まず、人が何かをやろうと思い、続けるのは、次の何れかのパターンになります。
 1)何かいいことがある。
 2)何かを失いたくない。
 3)習慣として定着している。

1)何かいいことがある
 「自分」「他者」「会社」「顧客」「社会」・・に、何らかのメリットがもたらされる実感が湧いている状態です。さらに「実現できそうだ」という手応えが強いほど行動が後押しされます。

2)何かを失いたくない
 「信頼」「名誉」「地位・立場」「財産」・・等、いま持っているものを手放すことを回避したい状態です。危機意識が強くなるほど、行動が後押しされます。

3)習慣として定着している
 特に意識しなくても「やる事 / やらない事」が当たり前になっている状態です。なお、何かが定着し始めるためには、30日~45日かかると言われていますが、これは決めた事を繰り返して実施した / 実施しない場合の期間です。実施しない日があれば、さらに長い期間を要します。

さて、これらを踏まえると、何か新しいことを始め、その活動を定着させるために、次のような取組みが必要となりそうです。

【Step1】
 ①どんなメリット / デメリットがあるか?を示す
  言いかえると「何故」やるかを明示する。

②目指すべきゴール、成果を示す
  言い換えると「何」を「どこまで」やるのかを明示する。

③手順を示す
  どのような方法、順序で実施していけば実現できるのかを示す。

④障害を取除く
  大きな障害となる他業務との優先順位づけ、実行するための時間確保を行う。

【Step2】
 ⑤行動を促す場面をつくる
  行動のトリガーとなる、時間、定期、条件・・等を決める。

⑥効果を実感できる仕組みをつくる
  業務の中や、定期的な振返りの中で手応えが感じられるようにする。

【Step3】
 ⑦決めたことが続けられるようにバックアップする
  経営幹部やリーダーが率先して行動し、積極的なフォローや支援を行う。

せっかく始めた取組みが続かない場合、先ずは【Step1】をチェックしてみてください。意外と不足しているのが「④障害を取除く」です。幹部やリーダーが優先順位を明確に決められてないため、最終的に担当者任せになっているケースが散見されます。

次に【Step2】ですが、行動なきところに絶対に変化は生じません。はじめのうちは、半ば強制的にでも行動に繋げる仕掛けが必要です。例えば、ある音楽がかかったら一斉に掃除を始める。開始や期限の1時間前になったらリマインダーを案内するなど、が相当します。
 また、効果の実感が湧かないものはやはり長続きしません。効果を多面的、細分化して見えるようにし、さらにフィードバックも伝えるとよいでしょう。⑥効果を実感できる仕組みが高いレベルで機能すれば、【Step3】がなくても自然と定着は図られます。

最後に【Step3】ですが、面倒な取組み、手間がかかる取組み、難易度が高い取組み・・は、気持ちが折れやすいものです。このため、経営幹部やリーダーが積極的に関与する必要があります。なお、始めは大変でも一旦習慣化されれば、今度はやるのが当たり前になり、逆にやらないと落ち着かなくなります。

如何でしたか、貴社で新たな取り組みを継続するためのヒントは見つかったでしょうか?

ちなみに、5Sの本質は「決めたことを持続・習慣化する、社内文化を育む仕組み」である、という事をご存知だったでしょうか?

誰もが取組みやすい「整理」「整頓」「清掃」を通して、社内に「習慣化・躾」の文化を根付かせていきます。

どんなによい取組み、人材、設備やシステム、情報・・であっても、それを受け入れる側の姿勢(社内文化)が不十分であれば、結局のところ大きな効果は望めません。

先ずは「当たり前にできる」ことを、経営幹部やリーダーの皆さんが率先して愚直に続けるところから、習慣化の社内文化を根付かせていきましょう。