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心と経営の力学 【No.5】 5S導入で躓かないための5つのポイント①「徹底して捨てる」

 前回、5Sの本質について話しましたが、実際に導入するための方法と留意点について、5回にわたりポイントをお話しましす。

 初回は「徹底して捨てる」です。5S活動の7割~8割が最初の「整理」にあるといっても過言ではありません。「整理」とは、要るモノと要らないモノを分けて、要るモノ以外は職場に置かないことです。そして、要らないモノを徹底的に捨てます。

 社内や職場が整理できていないと次のようなデメリットが生じます。

  • 本当に要るモノを探すのに時間がかかる
  • 要るものが近くに置けなくなるため、作業効率が低下する
  • 作業や移動の邪魔になる
  • 必要なモノが見つからずに同じものを複数回購入する
  • 保管の手間や費用が嵩む...etc

 一般的に言われる、これら物質的弊害に加え、さらに重要なものとして「行動するエネルギーや思考の分散」があります。あまり気付かれていないかもしれませんが、これは確実に起きています。

 試しに片づけれた場所と散らかった場所の双方で、腕を伸ばして人差し指を立て、その先端に集中してみてください。どちらが集中できるでしょうか?

 多分、多くの方が散らかった場所の方が集中力が低下するハズです。要らないモノが多い環境というのは、それだけで集中力が分散します。例えば、大切な仕事に取り掛かかり始めた時に、忙しいのにも関わらず周りが気になって片付けを始めた、という経験はないでしょうか?これは「集中力を阻害する要因を排除したい」という欲求から来ています。

 要らないモノが多い職場では、この集中力つまりエネルギーの分散が社長や従業員の中で気付かないうちおこり、大きな損失や弊害を生み出しています。

5S-2 このため私は「この”整理”の機会に半分ぐらい捨てるつもりで徹底してやってください」と指導しています。でも、最初のうちはこの「徹底して捨てる」ができない会社が殆どです。 「まだ使えるからもったいない!」「使う場面が生じた時にないと不便だ!」「高価なものだから再入手が大変だ!」...等、さまざまな感情や主張が湧き起こり、これが捨てる障壁となります。たしかに何れも、もっともな理由ですが「次に何時使うんですか?」と尋ねても、明確な答えはほとんど返ってきません。

 どのようにしてこの捨てる障壁を打破してけばよいのでしょうか?その一つが、要るモノと要らないモノの「明確な基準」を作り、全社員で共有することです。 この基準を作ることで、多くの会社が最終的に3割~5割の整理(減容化)に成功しています。

 皆さんの会社は要らないモノが不用意にあることで、作業が非効率になったり、社員のエネルギーが分散しているようなことはありませんか?整理する機会を意識的につくり「思いっきり捨てましょう!」「 手放しましょう!」

 そのための「明確な基準」の作り方については、次回くわしく説明します。