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心と経営の力学 【No.7】 ものづくり補助金に対する素朴な疑問④「どんな場合に不採択になる?」

ものづくり補助金に関して、お客様からよく寄せられるご質問にお答えします。第4回目は、「どんな場合に不採択になるの?」です。 前回は採択の可能性を高めるためのポイントについてご紹介しましたが、「逆に不採択になるケース」を念頭におきながら、これらのポイントを押さえることで、採択される可能性がより高まります。 それでは、どのようなケースが不採択になるか詳しく見ていきましょう。 先ずは、不採択となった申請の実際の審査員コメントをご紹介します。 これらを踏まえると、次のような共通点が浮かび上がってきます。 1)設備性能ばかりがアピールされ事業への効果が分からない 設備の特徴や性能のアピールがメインになってしまい、自社が抱える課題の解決や今後の事業展開の中でその特徴がどのように活かされるか、といった記述が少ない。 主体はあくまで事業であって、設備の素晴らしさをどんなにアピールしても採択には繋がりません。 2)技術的な課題が設定されていない 前述とも関連しますが、技術的な課題を設定していないと設備のアピールに陥りがちになります。例えば、「複雑な多面加工ができるようになるため、従来受注ができなかった●●部品を受注できるようになる」と書いた場合、審査員に「それだけなら当社でなくても、同業者でも真似できるよね」と解釈されてしまいます。その設備性能や機能を自社が抱える技術的課題の解決のためにどのように活かして、事業を拡大するのか、まで記述する必要があります。 3)新規性が感じられない 新規性については、「審査項目」の中に次のように書かれています。
●技術面:「新製品・新技術・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の"革新的な開発"となっているか」
この"革新的な開発"の意は、製品そのものの新規性だけを示しているわけではありません。対象製品に新規性がない場合は、生産工程が変化することで、製品の原価が大幅に低下したり、性能や品質が大幅に向上したり、納期が大幅に短縮される、といった内容でもよいのです。大切なのは、従来との違いを明確にしながら大きく変化している事を強調することです。またそれが、前述したとおり導入設備だけでなく、自社技術が相まって成し遂げられるものであることを示す必要があります。 4)差別化が感じらない ここでいう差別化とは、競合他社に対する優位性の事です。優位性に関しては、「審査項目」の中に次のように書かれています。
●技術面:「課題の解決方法が明確かつ妥当であり、"優位性"が見込まれるか。」 ●事業化面:「補助事業の成果が価格的・性能的に"優位性"や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。」
実施する補助事業が自社視点だけでなく競合他社に対してどんな優位性をもたらすのか、を強調する必要があります。この時、理由とともに、もともと競合他社に対して有していた●●の優位性が補助事業によってさらに強化される、といった説明ができるとより評価が高まります。 5)事業化されるイメージが湧かない 技術的な課題の解決が、どのように事業化に繋がっていくか、に関する記述が少ない。 技術的な内容はある程度理屈で説明ができますが、事業化となると明確な裏付けが必要となります。市場規模や市場成長率等のマクロ情報と、顧客情報をもとにした販売計画に整合がとれていて実現性が高いことを示すことが重要です。また、合わせてその補助事業を遂行できる体制が備わっていることも示す必要もあります。 以上の事を意識しつつ、前回ご紹介したポイントを押さえて申請書を作成すれば採択の可能性を確実に高めることができます。 では、具体的に「どうやって申請書を書けばよいのか?」については、次回ご紹介します。 本コラムに関してご不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください。 最後にご案内です。「素朴な疑問に答える」シリーズでご紹介してきた内容も含め、ものづくり補助金に採択されるために絶対に抑えるべきポイントを豊富な事例を交えながら、より詳しく説明させて頂くセミナーを開催することになりました。詳しくは、こちらをご覧ください。