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心と経営の力学 【No.30】 先が見通せない状況の中で、重要な視点とは?

 新型コロナウィルスの影響によって、いま多くの企業が今後を見通せない状況にあると思います。

一方、「何時まで、この状態が続くのか?」「コロナ後は、社会が元通りになるのか? それとも大きく変わるのか?」「変わるとしたら、どんな変化が起こるのか?」「どんなニーズが新たに生まれるのか?」「将来に向けて、いま何をすればよいのか?」・・・等々
いろんな事が頭の中を巡っていることでしょう。

こうした状況の中で気を付ける必要があるのは、率先して組織を引っ張っていくべき、経営者やリーダーが何ら行動を起こすことなく、ただただ堂々巡りを繰り返し続けていることです。
 もし経営者やリーダーの皆さんが、このような状態に陥っているのであれば、殆どの部下の方もまた、仕事が減ったなりに何気なく日々をやり過ごしているか、世の中に同調して完全に思考と行動が停止しているか、の何れかの状態にあると考えた方がよいでしょう。

そして、その状態のまま時間が過ぎていくのであれば、コロナ騒動が過ぎ去った後に会社がどの方向に進むにせよ、社員の動きは、間違いなく鈍化するでしょう。
 なぜなら、脳科学の有名な原則のとおり「使わないモノは失われる」からです。つまり、使われない能力はどんどん低下し、相当意識的に取組まないとなかなか元に戻らないのです。

それでは、一体どうすればよいのでしょうか?

いま起きていることは、世界全体にとっても未曾有の出来事ですが、もっとも近い経験を活かすとすれば、リーマンショックの時に何が起きたか?を思い返してみるとよいと思います。

リーマンショックの時にも多くの企業が、今回と同様に「雇用調整助成金」制度を使い、会社を完全休業もしくは、社員を交代で出勤させる半休業を実施しました。結果的に、社員の平均出社は週に2日~3日になりました。他方、この制度は最大100日まで休業補償されたため、半休業状態が1年近く続く企業も続出しました。

幸いにしてリーマンショックの時は、殆どの産業が少しずつ元通りに回復していきましたが、一方、リーマンショックの渦中でどのような取組みをしたかによって、その後の業績に明確な差が生じました。

静観していただけの企業は、何とか持ちこたえものの、業績が数年間低迷を続けました。

一方、リーマンショックの時に固定費の削減や、作業・業務のムダ取りに懸命に取組んだ企業は、短期間で業績が回復しました。また、商品や生産プロセスは同じでも、リスク分散のためにあらたな業界の顧客開拓や、販売チャネルを設けることに弛みない努力をした企業の中には、業績を大幅に伸長させた企業もあります。

たしかに、今は先が見通せない状況で手詰まり感はあります。一方で、これまで忙しくてなかなか手を付けられなかった事に取り組むには、またとないチャンスです。
社員が本来持っている能力をムダにしないためにも、目標やテーマをしっかりと与えましょう。

松下幸之助も次のような言葉を残しています。
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 指導者にとって必要なことは目標を与えることである。指導者は特別な知識とか、技能はもっていなくてもよい。それは、専門家を使えばいいのである。しかし、目標を与えるのは指導者の仕事である。それは他の誰がやってくれるものでもない。
 ―中略―

 指導者は、自分の哲学なり、体験に基づいて、その時々に応じた適切な目標を次つぎと与える。指導者はそのことを的確にやれば、あとは寝ていてもいいほどである。

松下 幸之助 講演録より
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先ほども話しましたが、もし未来に向けた目標を与えにくい状況にあれば、ムダを省くことに力を使うとよいでしょう。
 ちなみに、過去のコラムでも何度か「ムダ取りについて」紹介していますが、例えば次のような内容があります。
 【No.15】「動き」の観点でムダ取りして、生産性向上を実現する手法
 【No.16】生産性を高めるムダ取りの視点「スムーズに動かす」とは?

また、この渦中における当社のお客様の事例を参考に幾つか紹介します。
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 M社では、何十年も手付かずだった倉庫の中の不用品を、社長が先頭に立って指揮して、この1ヶ月半で約7割捨てました。
 また、社員から「次はこうしたい」「もっと、こうしたらどうか?」といった意見が出はじめています。

L社では、長年課題となっていた繰返し起きていた不良の抜本対策に取り組んでいます。この1ヶ月で、幾つかの方法を試みて不良率が従来の3割以下になりました。
 また、さらなる低減策も見えてきました。

S社では、全社員に最低10件以上の「ムダ取り提案」をシートに記入して提出するよう依頼し、2週間ですでに数百件の提案があがってきています。
 また、幹部は全ての提案に目を通し、効果が大きいものから取り組む計画を立てています。
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こうして見てみると、先が見通せない状況下でも何かしら行動できることは必ずあるハズです。また、行動することで、次に必要な行動が見えてきます。

頭の中の堂々巡りは1mmの変化も生みません。

こんな時だからこそ、これまで出来なかった未来に向けた行動を、少しずつでも起こしていきましょう!!

【追伸】
 先週、開催したオンラインセミナー『生産性を高める「整理」の進め方』の中で、使用した資料を、今回に限り無料でご提供させて頂くことにしました。
 この機会に、5S活動の「整理」に取り組んでみたい!と思われている方は、ぜひご活用ください。詳細は、こちらをご覧ください。