心と経営の力学 【No.51】 AIがどんなに頑張っても出せない答えとは?
AIの進化とその限界
最近のAIの進化は目覚ましいものがありますね。私たちのビジネスや日常生活に多くの変化をもたらしています。AIはデータを分析し、予測し、課題や問題の解決策を凄まじい精度とスピードで提供してくれます。
しかし、今後どんなにAIが発達しても導きだせないものがあります。
それは、人生の目標設定とそのために必要な自己理解です。
自己理解の重要性
人生の目標設定とそのための自己理解に関しては、多くの成功者や経営者もその重要性を強調しています。
例えば、組織論で有名なバーナードは、組織の成功には「共通目標」が不可欠だと述べています。特に中小企業の場合は、「会社経営は経営者の人生哲学の体現」の1つなので、自ずと共通目標には経営者自らが大切にしている価値観が投影されている必要があります。
また、先日読んだナポレオンヒルの「悪魔を出し抜け!」の中には、人生をより充足させるための纏めとして、「願いは強く念じることで現実のものとなる。そのために必要なのは、明確な目標とそれを支える明確な計画。そして、"ヒプノティック・リズム"と時間という大自然の法則を味方につけること!」とありました。
ちなみに「ヒプノティックリズムとは、あることを習慣化することで自然と働き出す慣性法則のような意味」で用いています。
自己理解の探求
AIはデータと事実に基づいて適当な判断や提案をしてくれますが、私たちの内面や情熱、夢、価値観を図り知ることはできません。
このため、短期的な経営の数値目標を設定することはできても、私たち個々の人生における真の目的や長期的な目標を見出することはできません。
もし、一見それっぽいものを提供してくれたとしても、自分の内側とじっくりと対話しながら沸き起こってきたものでない限り、得心できないのではないでしょうか?指紋と同じで、1人ひとり異なるものなので、外から与えられた答えでは完全には符合しないのです。
一方で、重要だと知りながらも人生の目的や目標を明確に設定できている人はごく少数だと言われています。
なぜなら、外から与えられた"それっぽいもの"に従っていた方が、自己の内面と対話するなんて面倒なことをせずに済むし、上手くいかない場合は「やっぱり違うかな?」と言い訳けもできます。
ただ、自分の人生を真に充足させるためには、自分自身で「人生を選ぶ」ということ以外にありません。どんなにAIが発達しても自分の代わりにはなってくれません。
なので、自分自身を観る・知る技術を磨くことが、今後益々重要になってきます。
瞑想の力
自分を知る技術としては、例えば「ライフラインチャート」を書く、「価値観のリストアップと優先順位づけ」をする・・等々、色々ありますが、先ずオススメしたいのは、自分の思考や感情を客観視できるように「瞑想習慣」を持つことです。
最近では、脳科学による効果の立証やマインドフルネスの普及などもあって、瞑想習慣を持つ人が年々増えています。
特にスポーツ選手や経営者には多く、例えば、イチローや本田 圭佑、ジョコビッチ、マイケルジョーダン、タイガーウッズなどの名プレーヤー、また稲盛 和夫や松下 幸之助、ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグ、スティーブジョブズなどの名経営者も瞑想をしていることで (/ していたことで)知られています。
他方、瞑想と言うと何か特別な時間や場所を設けてやらなければらないと考えているかもしれませんが、日々の生活の中で簡単に始めることができます。
例えば
・10秒だけ、呼吸に伴うお腹や胸の動きに注意を向けてみる。
・食事の時、初めの2~3口だけでも、その色、形、匂い、食感などを五感でフルに感じてみる。
・歩きながら、足裏の感覚や目に入る景色をありのままに感じ取ってみる。
等々
「今この瞬間をありのままに体験する」ということを意識的に試してみるだけでもよいのです。
これが正しいやり方、感じ方というのはありません。もし何も感じなければ、「何も感じていない」ということに気づいておきます。
また、何か余計な思いや考えが浮かんできてもそれを咎めることなく、「それはそれとして」、元の対象に意識をスッと戻すことで、現状を「ありのまま」に捉える技術が段々と上達し、合わせて自分を客観視できる能力も高まっていきます。
AIが簡単に答えや選択肢を出してくれる時代になるからこそ、「自分の内側と意識的に対話しない限り、知らず知らずのうちに周りや時代に流されいた」なんてことになり兼ねません。
そのための有効な手段の一つとして、先ずは簡単にできる瞑想をはじめてみてはいかがでしょうか?
質問や感想などがあれば、お気軽にこちらまでメッセージください。